2週間も過ぎると、4人での共同生活にも慣れてきました。
渡辺くんとM男と、三人で話す機会も多くなりました。2人は鳥取県出身。いわゆる田舎モノを自負していました。度重なる恐喝で2人とも少年鑑別所に入りました。鑑別所の話を得意げに得意げに話す渡辺くんは、明日の仕事の時間など、気にするはずも無く、私を寝かせてくれませんでした。(まあ、実際楽しかったのですが。)
様々な検査の話(施設では訳のわからないテストをするものです。ロールシャハテストなど)、反省文の書き方なども、参考になりました。(自分の気持ちとはまったく反対のことを書く。)
彼らは、無事少年院送りとはならずに、保護観察。(いわゆる釈放です。)
地元にはいられなくなったので、長野まで来たのでした。
夜中の2時まで休む間もなく話をし、眠たくなると
「先輩!明日7時に起して下さいね。」一応敬語も話します。私のことを「先輩」と呼ぶようになりました。(懐かしいなあ)
次の日(実際には日付は変わっていませんが)
「おい!7時になったぞ!起きろ!」そう言って起こすと
「あーーー!うるさい!だまれ!!こらーー!」渡辺くんは思い切りどすを効かせます。
ねとぼけてるなと思いながら、私はお湯を沸かし、カップラーメンを食べて職場に向かうのでした。
10時の休憩で渡辺くんたちに出会います。カップコーヒーを飲んでいると
「先輩!何で起こしてくれなかったんですか!」渡辺くん
「起こしたら、お前、うるさいってすごんでたぞ。」
「エー!そんなことしませんよ!」全く覚えていないのです。
このようなやり取りがよくありました。
よくあったといえば、財布に入れていたお金がなくなる事が続きました。次の日の朝食のためにスーパーでカップヌードルを買うのですが、そのおつりが全てなくなってしますのです。不思議なことに、お札は全てあるのです。小銭だけが全てなくなるのです。
気味が悪いので(渡辺君たちに間違いありません)、財布を枕の下にして寝ることにしました。問いただしてもめるのも嫌なので放っておきました。
小銭がなくなることはなくなりました。
気持ちの良い日々が二三日続きました。
しかし平穏な日々も続きませんでした。朝起きて、昨日買いだめしておいたカップヌードルを食べようとしたのですが。枕もとのスーパーの袋がありません。
台所に行くと、渡辺くんとM男がラーメンをすすっています。
私と目が合うと、・・・。