お見舞いの途中で、タバコを吸いたくなったので、喫煙所に向かいました。
いつの間にか、病院内に喫煙コーナーはなくなり、どこの病院も外になりました。
喫煙所では、点滴をしたままの人、車椅子の人、お見舞いの人などで、ごった返しています。
車椅子で点滴のまま死にそうな顔でタバコを吸っているおじいさんもいます。
なにもそこまでして吸うことはないだろうと思ってしまいますが、そこがタバコ吸いの悲しい嵯峨です。
タバコを吸いながら、コーヒーを飲んでいると車椅子のおばさんに話しかけられました。
「お見舞いかね?」
「はあ。」
「ここの病院の食べ物はまずい。味付けをしてないんよ。」
「そうですか。」
「食えたもんじゃない。」
「塩分を控えめにしてあるんじゃないですか。」
「いいや。そういう問題じゃない。お兄さん!食ってみるかね!」
「いいや、いいです。」
「遠慮せんでええ!特別室だから(広い1人部屋です。)部屋においで!」
な、なんと、この年で初めてナンパをされたのです。
「これから用事がありますんで。」
「そうかね。」おばあさんは、残念そうに下を見ました。
私は罪な男です。